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読んでしまうがいい

19、20歳ほどの人に出会ったときに必ず言うことにしている(と言いながら18~20歳の人に知り合いがいないため言ったことがない)、「とりあえず原田宗典の『十九、二十』だけは読んでおけ」というセリフがある。暖めているセリフなのだけどこのまま発酵して別のオブジェクトになってしまわないか心配でもある。
で。
ここにもう一冊追加することになった。そう決めた。
森見登美彦の『太陽の塔』(http://www.bk1.co.jp/product/02669499)がそれだ。
以下のような文章がある。

--- 引用
 この美しくも涙ぐましい禁欲的生活を支えるために、欠くべからざるものがビデオ店である。隙あらば理性の頚木を逃れようとするやんちゃなジョニーのご機嫌を取り、つねに静謐な心を保つためには、連日のごとく新鮮な具材が必要だ。
 かつては事故処理に伴う思春期特有の罪悪感にまつわりつかれ、夜ごと枕をしとどに濡らし、下半身でふてぶてしく微笑むジョニーに「おまえはどこまで行く気なのだ」と力なく問いかけたこともあったろう。しかし理性的人間として冷静に世界と対峙してゆくためにはそんな自己嫌悪に浸って入られぬと豁然対語したのは一回生の秋、現在では全く抵抗がない。少しでも手を休めれば、この下克上の時代、いつなんどきジョニーが理性に取って代わるかわかったものではない。そうなれば私は深夜の木屋町を踊り狂って「あっほう」「あっほう」と奇声を発し、道行く女性の懐に見境なく恋文をねじ込む羽目になるであろう。
 世界平和のためには我々一人一人が責任をもって荒ぶる魂を鎮めねばならぬ、社会に生きるものの義務とはいえつらいことだと嘆きながら、禍々しい生殖本能の矛先をそらすために培われてきた膨大な作品群を前にして私は右往左往し、各コーナーに高らかに響き渡るY染色体の哄笑を聞き、そして割合まめに新作をチェックする。
--- 引用オシマイ

読んだとき、コレはもう18~20歳(割合ダメな感じな人生を送るだろうと確信している人限定)への預言書かと思った。
おそらくは竹田が18くらいのときにコレを読んでいたら、間違いなく上記引用文に近しいの人生を送っていただろうと確信できる。
それくらいに素敵な一冊なのでとっとと読んでしまうがいいと思う。

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