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2008年05月16日

いするぎのえのつくりかた 第五回

こんにティアー。キャラクター創作秘話という程大それたものでもない薄ボンヤリとしたコラムをひさびさにお届けしてみます。

それでは第五回は主人公の仲上眞一郎です。
アニメ版「truetears」も全体的なキャラ配置のフォーマットはギャルゲーを意識して作っているので(ゲーム上のプレイヤー=主人公+攻略ヒロイン達)視聴者の方が自然に感情移入できるような主人公を意識しました。

なので性格も外見もあまり突飛なキャラクターはつけ辛く、なかなか難しいポジションではあります。
他のギャルゲー原作のアニメ作品を観ても、元から主人公をキャラクターとして立てているタイプ(最近だときみあるとか?)以外の作品で、キャラ付けに苦労してるなあ、というのを感じることがありますね。

この作品は舞台設定や雰囲気が特徴的なカラーのあるものなので、その雰囲気に合うように少しずつ調整をしてキャラを作っていきました。

他の仕事とかでも、キャラデザインの時にときどき実在の人物とかにイメージ的なモデルを設定することがあるんですが、眞一郎は雰囲気的にV6……の岡田…さん?という方(芸能人あんま詳しくない)をイメージしました。
外見でそんなに格好つけてる訳ではなくて、自然と爽やかで男っぽい感じというか……僕が言葉でいうとなんか普通なんですけど(語彙ショボいなー)そんな感じ。
髪型もそれっぽく短髪にして、デザイン的に特徴をつけてみました。よく見ると結構変わった髪型になってます。
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眞一郎はメインキャラではほぼ一発でオッケーが出ました。本編でもいい意味でアニメキャラっぽくないというか、自然な雰囲気のキャラになったと思います。この辺りは演出や演技パートの力が大きいと思いますが。

それでは次回は眞一郎の家族で続けてお話ししてみたいと思います。
本編でカットされてしまった比呂美と慎一郎母との幻の**シーンについてもこっそりと……。
(第六回につづく)

2008年04月03日

いするぎのえのつくりかた 第四回

それでは第四回。三人目のメインヒロインあいちゃん編です。
愛子に関しては、他の二人と違って初期の設定で容姿や性格がある程度はっきりしていました。

「この愛子というキャラはどのような感じなのでしょうか」

「背がちっさいです」「でも巨乳です」「なおかつ幼なじみで年齢的にはお姉さんなデザインをお願いします」

「たいへんやり甲斐のある仕事であります(ロリ巨乳ktkr)」

このような取っ掛かりがあってやり易かったのですが、やはりデザインをリアルな範囲で収めるということで、特徴を出すのに苦労がありました。
愛子は決定稿まで早かった方ですが、比呂美とかが微調整が大変でしたね。

これが一稿目。前髪が少し重たい感じでイマイチ。
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併せてキャラの性格をデザインに反映していきます。田舎に住んでいるのですが、おしゃれにはかなり気を使っていて、まめにファッション誌なんかを読むタイプ。その情報をキャラ造形で表すために、私服や髪型も乃絵と比呂美より垢抜けた感じにしています。
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そして前髪を軽くしたこのデザインで決定。
初期稿にあった「隠れ眼鏡っ娘」のスキルは比呂美さんに奪られてしまいました。
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truetearsの作画では表情等の日常芝居をしっかりと作るということで、表情が強く出るようなデザインを意識しました。
髪型は重たくならないように軽めの髪型、前髪の短いキャラを多く配置しています。

容姿のデザインは一番先に目に入る部分ですが、あくまでほんの一要素です。
愛子はアニメスタッフの方の配色も良くて、いい具合にに活発な雰囲気が出たと思います。

こうして他のパートの動画や演出や声の芝居で、キャラクターが出来ていくのがアニメの面白い部分ですね。脚本作りの時点で出来たイメージ通りにキャラクターが動いているのを観ると本当に不思議な感じがします。

それでは次回はあまり喜ぶ人が居ないかもしれませんが、主人公の眞一郎含む男性陣のお話に移りたいと思います。
(第五回につづく)

2008年03月20日

いするぎのえのつくりかた 第三回

本放送もいよいよクライマックスですねーではでは今回は第三回はもうひとりのメインヒロイン、比呂美のデザインのお話。
美少女と同居、なんてシチュエーションはギャルゲアニメでも珍しくないですが、TTのようにリアル寄りの描写をしていると、なんか、こう、えろいよね……。

乃絵のデザインがこの時点ではロングヘアーだった為、シルエットのバランス、キャラ位置的なものを加味して、対称的になるような差をつけてデザインしていました。
同居する薄幸美少女ヒロインということで、男性が好きそうな要素(大人しくて控えめで品があって等々)をいろいろ入れていって、後の決定デザインとなります。

とりあえずは言葉で語るよりは、実際の初期デザインラフを見ていただきましょう。
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…………ちょ……これは……。

視聴者の方々はツッコミを入れたいデザインというか、後の朋与に流用されたデザインなので、今見るとどう見ても比呂美初期デザインというよりは「きれいなともよ」。

顔立ち、表情は比呂美っぽいというか綺麗な顔立ちになってますね。
後にわりとフツーの顔立ちにリデザインした朋与は気に入ってます。

デザインを他のキャラに流用するとかどうなのよ、楽してんじゃね?とかいうツッコミも入りそうですが、これは非常に高度でアーティスティックな判断でありまして……

「あなた、嘘ついたでしょ」

……次回は「小柄」「巨乳」「幼なじみ」「先輩」と萌え要素勢揃いな愛ちゃんのデザインのお話です。
(第四回につづく)

2008年03月13日

いするぎのえのつくりかた 第二回

公式HPのホワイトデー専用TOPに驚愕しつつ、第二回更新です。

まず男共は後回しにして(眞一郎は主人公なのに……)メインヒロイン達のデザイン作業が始まりました。

シナリオを読み込んだり、スタッフの方とミーティングを重ねたりしながら、何となくアニメ「truetears」のイメージが固まってきました。
今風のギャルゲーのような雰囲気ではなく、昔の日本映画であった尾道三部作とか(今の人わかるかな……)の雰囲気。

あの時代に僕のような年若い恋愛に憧れる非モテ層が観ていた(勝手に決めるなよ)上質の恋愛モノのジュブナイル映画を思い出しました。
最近はこういう系統の良い作品って、あまりないような気がするんですが、今の中高生辺りの若い人達はどんなものを観ているんでしょうねえ……ギャルゲー?

さておき。あの頃のこういう映画のヒロインは、何となく不思議な雰囲気を持ったキャラクターが多かったような気がします。
そんな不思議ちゃんな雰囲気を、乃絵の表情やルックスで表現できるよう試行錯誤しました。

この時点でデザインの指定はおばあちゃんのコートのみでした。こういうアイテムを起点にしてシルエットも作ります。

出来上がったデザイン第一案がこちら。今見るとロングヘアーは違和感ありますが、表情とかは近いですね。
作ったイメージに合わせ、ベレー帽など服装にあえてレトロな雰囲気を入れています。
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そして監督にチェックをいただきます。
「あれ、俺、乃絵はショートカットにして欲しいって言わなかったっけ」
「…………(言われてない気がするのですが……現場で一番偉いのは……監督!)」
「大変申し訳ありません。全て手前の不手際でございます」

という訳で乃絵ロングヘアー版は没案に。とは言え、表情やキャラクターのイメージはこれで固まってきたので、デザインをさらに調整します。

この時点で乃絵と同時に比呂美、愛子のデザインも進んでおり、ロングverの乃絵とバランスを取るために、比呂美のこの時点でのデザインは決定稿と全く違うものになっています。

それでは次回は、視聴者の方から総ツッコミ必至の比呂美初期デザインのお話です。
(第三回につづく)

2008年03月07日

いするぎのえのつくりかた 第一回

TVアニメという媒体でのお仕事をさせていただいたので、せっかくだしここでもオンタイムで何かやってみようかと思い、しばらくこのブログでちょっとしたコラム形式で自分のパートの仕事なんかをお話してみます。

作中のストーリーやネタバレには触れず、キャラクター原案の仕事のみに話題をしぼって書いていきますので、そういったことに興味のある方は、よろしければお付き合いくださいませ。

さてさて、現在オンエア中のTVアニメ「truetears」で、キャラクター原案というパートを担当させていただきました。
まずはキャラクター原案って何?というトコからお話を。
アニメに詳しい方なら、区別はついているかもしれませんが、いわゆるキャラクターデザインとは多少異なります。

オリジナルのアニメやゲームの場合はキャラクターの容姿をデザインする=キャラクターデザインなのですが、原作があるコンテンツの場合、キャラクタの絵(漫画の絵柄、ゲームのCG)はアニメで動かすための絵にリファインする必要があります。
その部分を担当するのもアニメではキャラクターデザイナーと呼ばれます。両者に表記の明確な線引きはなかったりするのでややこしいのですが。

漫画原作のアニメとかの場合は、漫画家がキャラクター原案、アニメーターの担当がキャラクターデザインと言えば解りやすいでしょうか。

今回は原作となるゲームからテーマを引き継ぐものの、ビジュアル設定を新規に設定するため、オリジナルの原案が必要となる変わったパターンでした。

というわけで、自分が担当したのはメインキャラの容姿デザインとアイデアのみで、配色や実際のアニメで使われたデザインや小道具等はアニメスタッフの方の担当ということになります。

自分が参加したのは去年の春先、まだ出来ているのは脚本のみで第一話、第二話も改稿中(決定シナリオの前段階)の段階でした。
キャラは乃絵と比呂美、眞一郎以外は描写も少なく、全体の構成もまだ未完成。
ビジュアルに関しての素材は富山が舞台、ということ以外は何もなく、まさに0からのスタートです。

ギャルゲーを原作としたものと聞いていたので、シナリオもそんな感じかなーと思って第一話を読んだのですが
「なんか変わった話だな……キャラも少ないし……今どき珍しい地味なドラマだし……鶏いきなり死ぬし……」
とりあえず「なんか自分が思ってたようなギャルゲーっぽくないな……」という第一印象でした。
スタッフの方からの要求も、地味である程度リアル寄りなデザインにして欲しいとの事。

簡単に言えば、ピンク髪ツインテールとか禁止ー!やたら派手な装飾とかも禁止禁止ー!……という訳で。
えーそれって結構難しいんですけど……。
簡単に言えばビジュアルからキャラを立てにくい、配色や記号的表現に頼って差別化しにくい……とか諸々。

しかも同時期にほぼ同コンセプト(舞台が雪国の田舎町の恋愛話)のビジュアルノベル「収穫の十二月」のキャラクターデザインも進んでおり、バリエーション付けに悩む事となります……。

とりあえず最初のオーダーはメインヒロインの石動乃絵から。次回は彼女のデザインに関して諸々語ります。
今回は制服デザイン案をおまけに公開~見慣れないキャラが居ますがこの娘は一体……?
(第二回につづく)
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